2022/09/20
頭痛の種類
頭痛はあくまでの症状名であり、頭痛の原因となる疾患は数十種類以上あり、国際頭痛分類(現時点では第3版)という分類に準拠して診断しています。
国際頭痛分類ではこの数十種類もある頭痛をまずはざっくりと「一次性頭痛」「二次性頭痛」「有痛性脳神経ニューロパチー、他の顔面痛およびその他の頭痛」の3つに分類しています。
ここでは特に患者さんが多い「一次性頭痛」と「二次性頭痛」について、そして特に「二次性頭痛」について取り上げます。
一次性頭痛と二次性頭痛の違い
二次性頭痛は例えば脳腫瘍や脳出血などを原因として生じた頭痛のことをいいます。頭を打撲したときの頭痛も二次性頭痛ですね。それに対して一次性頭痛とは検査しても特に原因となるものが見当たらない頭痛のことをいいます。代表的な疾患は片頭痛や緊張型頭痛です。
普段は片頭痛で悩んでいる人が脳腫瘍に罹患することもあり、一次性頭痛と二次性頭痛が共存することもあります。
とくに二次性頭痛は生命に関わる疾患が原因のこともあり、まずは二次性頭痛か否かを診断することが初診のときには最も大きなテーマになります。
二次性頭痛を疑う13の兆候
次のリストの兆候を伴う頭痛は二次性頭痛の可能性が高く要注意です。
- 発熱を含む全身症状
- 新生物の既往
- 神経脱落症状または機能不全
- 急または突然に発症する頭痛
- 高齢(50歳以上)
- 頭痛パターンの変化または最近発症した新しい頭痛
- 姿勢によって変化する頭痛
- くしゃみ、咳または運動により誘発される頭痛、
- 進行性の頭痛、非典型的な頭痛
- 妊娠中または産褥期
- 外傷後に発症した頭痛
- AIDSなどの免疫系病態を有する患者
- 鎮痛薬使用過多もしくは薬剤新規使用に伴う頭痛
二次性頭痛の種類
このように時に生命の危険を伴う二次性頭痛の原因とはどのような疾患でしょうか?ここでは疾患名のリストを上げておきます。詳細は別の機会に触れたいと思います。
- 脳出血、くも膜下出血
- 脳静脈血栓症
- 可逆的脳血管攣縮症候群
- 頚動脈または椎骨動脈解離
- 急性外傷後頭痛
- 水頭症
- 髄膜炎・脳炎
- 脳腫瘍
- その他
頭痛の診断と検査
診断の最初の段階で最も重要なのは、なんと言っても二次性頭痛の除外です。理由はもうお分かりだと思いますが、生命に関わる疾患が原因である場合があるからです。ここさえ間違わなければ、慌てることはありません。
ではどのように二次性頭痛を見分けるでしょうか?
最も重要なことは問診です。頭痛がいつから、どのように生じたのか、他に症状がないか、既往歴など詳細な問診がかかせません。
次に重要なのことは検査です。当院では以下の検査の中から、問診の上で必要な検査を絞り込み、必要かつ十分な検査の計画を立てます。
- 神経学的検査
- MRI
- CT
- 頭部、頚椎レントゲン
- 頚動脈検査
- 血液検査
- 心電図
問診、検査結果の結果を総合して、原因を特定して適切な治療へと結びつけます。
残念ながら初診時に確定診断ができないことも少なくはありません。ただし初診時といえども危険な頭痛は除外することは最低限必要です。危険な頭痛を除外できれば、その後は経過を観察しながら診断の精度を高めていきます。