診断後1週間の過ごし方 ─ ご家族が最初に知っておきたい7つのこと

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認知症コラム #診断後 #ご家族の心得 #地域包括支援センター

「認知症です」──
その一言を、大切なご家族と一緒に受け止めた日。
ふわっと足元が抜けるような感覚を、
覚えていらっしゃる方も少なくないと思います。

これから、何をすればいいのか。
何から手を付ければいいのか。
まずは”最初の1週間”、慌てず、抱え込まず。
このコラムで、その道しるべをお伝えします。

【この記事のポイント】
診断直後のショックは、自然な反応です。
最初の1週間は、「今すぐ全部決めなくていい」と考えて大丈夫です。
医師の説明を書き留め、ご家族に共有し、地域包括支援センターに一報を入れることから始めましょう。

診断のショック、まずは”自然な反応”と受け止めて

ご家族が認知症と診断された直後、多くの方が経験されるのが「頭が真っ白になる」「涙が止まらない」「逆に何も感じない」といった反応です。

これは決して弱さではありません。
大切な人の”これから”を突然突きつけられたときの、当然の心の動きです。
診断を受けた直後は、受け止めきれないのが普通です。

まずは深呼吸をして、「今すぐ全部決めなくていい」と、ご自分に許可を出してあげてください。

ご家族が最初に知っておきたい7つのこと

診断後の1週間、優先順位に迷ったら、以下の7つを目安にしてみてください。
すべてを完璧にこなす必要はありません。
できることから、少しずつで大丈夫です。

  1. 診断直後のショックは「自然な反応」と受け止める

    悲しみ・怒り・戸惑い・混乱──すべて自然です。無理に前向きになろうとせず、まずはご自分の気持ちを認めてあげてください。

  2. 医師から聞いた説明を「書き出しておく」

    診断名・原因疾患の種類・処方された薬・次回受診日など。
    ショックの中で聞いた内容は忘れやすいものです。
    診察室を出たら、覚書として書き留めておくと後で助かります。

  3. ご家族間で早めに情報を共有する

    お一人で抱え込むと、どこかで行き詰まりやすくなります。
    同居家族・遠方の兄弟姉妹・お子さまなど、関係する方々に早めに共有し、これからの役割を少しずつ話し合える土台を作ります。
    ご自分から病状を伝えるのが難しいと感じる場合は、
    他のご家族にも同席いただいたうえで、主治医から改めて説明を受ける方法もあります。
    一度聞いた説明でも、医師の言葉でご家族向けに整理し直してもらうと理解しやすく、その場で気になることを直接質問することもできます。

  4. ご本人の気持ちを、まず”聴く”

    ご本人も、不安を感じていらっしゃることが少なくありません。
    「これから怖い」「情けない」「迷惑をかけたくない」──否定せず、まずは静かに耳を傾けることが、その後の関係の土台になります。

  5. 「今すぐ全部決めよう」としない

    介護保険・仕事・お金・住まい・車の運転──気になることは山ほどあります。
    ですが、診断された週にすべてを決める必要はありません。
    「今週は情報を集める週」と割り切ってOKです。

  6. 地域包括支援センターに”一報”を入れる

    地域包括支援センターは、高齢者の生活を保健・医療・介護・福祉の面から総合的に支える、市区町村などが運営する公的な窓口です。※1
    介護の不安や悩みを相談でき、相談・支援に費用はかかりません。※1
    お住まいの地域のセンターは、市区町村のホームページなどで確認できます。※1
    まずは電話で「認知症と診断されたので相談したい」と伝えるだけで大丈夫です。

  7. 相談できる場所を、複数確保しておく

    主治医・地域包括支援センター・認知症疾患医療センター・認知症の人と家族の会など、”聴いてくれる場所”は複数あります。
    家族の会は、全国の支部で「つどい」などの交流の場を開いています。※2
    話す相手が多いほど、ご家族の孤立を防ぎやすくなります。

この7つは、優先順で並べてありますが、順番にこだわらなくても大丈夫です。取り組みやすいところ、目の前で必要になったところから始めてください。

1週間の目安 ─ こんなペースでOKです

「1週間で7つ全部やらないと」と思うと、それ自体がストレスになります。
あくまで目安として、こんな時系列をご紹介します。

  • Day 1〜2

    気持ちを整理し、医師の説明を書き出す

    診断当日は、無理をしないでください。翌日以降、少し落ち着いたら、聞いた内容をメモに残します(1〜2をカバー)。

  • Day 3〜4

    ご家族間で情報を共有し、ご本人の気持ちを聴く

    同居家族・遠方の兄弟姉妹などに一言連絡を。ご本人には「一緒に考えていこうね」と、静かな時間に伝えてみてください(3〜4をカバー)。

  • Day 5〜7

    地域包括支援センターに電話を入れる

    週の後半、少し余裕が出てきたら、地域包括支援センターに「まずは相談したい」と電話を入れます。
    制度の説明や相談窓口の紹介など、相談内容に応じた案内を受けられます(5〜7をカバー)。

もちろん、このペースは目安です。
もっとゆっくりでも、順番が前後しても、何も問題ありません。
ご自身とご家族の状況に合わせて、無理のないペースで進めてください。

この時期、”やらなくていい”3つのこと

診断直後は、周囲の善意のアドバイスや、ネットで見た情報が押し寄せてきます。
「今週はやらなくていい」と決めておくと、逆に楽になることもあります。

  • 介護施設の見学を今すぐ始めない
    (在宅での介護が難しいと感じた段階で、改めて考えれば大丈夫です)
  • お金や相続の話を今すぐご本人と詰めようとしない
    (診断直後は避け、少し落ち着いてから、必要に応じて専門家を交えて話し合いましょう)
  • ネットの情報を全部読もうとしない
    (不安をあおる情報も多いため、まずは公的機関や医療機関のサイトに絞りましょう)

「やる勇気」と同じくらい、「やらない勇気」も、ご家族を守ります。

ただし、介護保険の申請は、市区町村の窓口で行います。※1
認定結果は、原則として申請から30日以内に通知されます。※1
手続きの流れだけでも、地域包括支援センターで聞いておくと安心です。

よくあるご質問

Q. 診断を受けた直後は、何から始めればよいですか?

まずは、医師から聞いた説明を書き留めることと、ご家族に早めに共有することから始めてみてください。
介護保険や仕事、お金などの大きな決めごとは、今週中に決める必要はありません。

Q. 地域包括支援センターでは、何を相談できますか?

高齢のご家族の生活や介護のこと、仕事との両立の悩みなどを幅広く相談できます。

必要に応じて、制度の説明や相談窓口の紹介を受けられます。
相談・支援に費用はかかりません。

Q. 介護保険は、どこで申請しますか?

市区町村の窓口で「要介護(要支援)認定」の申請をします。
地域包括支援センターなどで手続きを代行している場合があります。
認定結果は、原則として申請から30日以内に通知されます。

Q. 認知症の人と家族の会とは、どんな団体ですか?

公益社団法人として活動する、認知症の人とそのご家族の団体です。
全国の支部で、「つどい」などの交流の場が開かれています。
お住まいの地域の情報は、各支部にお問い合わせください。

Q. ご家族だけで相談することはできますか?

はい、ご家族だけのご相談も可能です。
認知症専用ダイヤル(046-204-8817/月〜金 9:00〜18:00)へお電話ください。

迷ったら、いつでもお電話ください

「地域包括支援センターにいきなり電話するのはハードルが高い」
「まず何を相談したらいいのか、わからない」
そんなときは、当センターへどうぞ。

当センターは、神奈川県指定 認知症疾患医療センター(連携型)として、診断後のご家族の”最初の一歩”のご相談も承っています。
「話を整理したいだけ」でも構いません。
ご家族だけでもお電話いただけます。

📞 認知症専用ダイヤル

046-204-8817

受付:月〜金 9:00〜18:00

おわりに

認知症の診断は、ゴールではなく「これから一緒に歩いていく道の、始まり」です。

最初の1週間は、慌てず、抱え込まず。
“何をするか”よりも、”どんな気持ちでいるか”を大切に過ごしていただければと思います。

そして、少し落ち着いたら、相談窓口や地域の力を借りてください。
ご家族だけで背負う必要はありません。

■ 参考文献・ガイドライン

※本ページは、当認知症疾患医療センター長である尾崎聡理事長(神奈川県認知症サポート医)やえびな脳神経クリニックの岩田智則院長(日本認知症学会専門医・指導医)の監修に基づき、医学的根拠のある情報を分かりやすくお伝えすることを目的としています。
個別の症状については、必ず医療機関で診察をお受けください。
制度は改正・更新される場合があります。公式情報をご確認ください。