秋の夕暮れは要注意 ─ 認知症の”ひとり歩き”事故を防ぐ、ご家族ができる7つの備え

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認知症コラム #ひとり歩き #秋の備え #見守り

日暮れが早くなるこの季節、夕方の外出が気がかりになる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
警察庁の統計では、認知症が原因で行方不明となった方は、令和7年に17,345人にのぼります。

「うちはまだ大丈夫」──
その思い込みが、思わぬ事故につながることもあります。
今日は、ご家族ができる7つの備えを、警察庁の統計や、海老名市・座間市・綾瀬市の取り組みとあわせてお伝えします。

【この記事のポイント】
認知症が原因の行方不明は、年間17,000人を超えています。
見守りシールやGPS機器、SOSネットワークへの事前登録、ご近所への一言が、早期発見の備えになります。
もしものときは、ためらわず、最寄りの警察署に連絡してください。

認知症による行方不明は、年間17,000人を超えています

警察庁によると、令和7年に認知症が原因で行方不明の届出があったのは、17,345人でした。※1
令和5年の19,039人から、令和6年・7年は減少しましたが、依然として高い水準です。※1

届出の受理から所在確認までの期間は、受理当日が最も多く11,369人、次いで2〜3日以内の4,487人でした。※1
警察庁は、約95%が受理から3日以内に所在確認されているとして、
迅速な発見活動の重要性を示しています。※1
早い段階で動き出せるよう、日頃の備えが大切です。

これからの季節、気をつけたい場面

次のような場面は、外出が気がかりになりやすいと考えられます。
一般的な注意点として、ご参考ください。

  • 日が短くなり、夕方以降の外出が暗い中になる
  • 気温が下がり、屋外で体が冷えやすくなる
  • 紅葉や落ち葉で見慣れた景色が変わり、道に迷いやすくなることがある
  • お墓参りや地域の行事など、外出の機会が増える

認知症の方の外出は、決して”目的のない行動”ではありません。
ご本人には「昔の職場に向かっている」「子どもを迎えに行く」など、その方なりの理由がある場合も少なくありません。
だからこそ、頭ごなしに止めるのではなく、”安全に外出できる環境”を整える視点が大切です。

【この項目の出典】
※1 警察庁「令和7年における行方不明者届受理等の状況」(PDF)(外部サイト)

「徘徊」ではなく「ひとり歩き」と書く理由

「徘徊」という言葉には、”目的なくうろつく”という響きがあります。
ご本人の尊厳を大切にしたいという思いから、このコラムでは「ひとり歩き」と表記します。

検索でたどり着きやすいよう、必要に応じて「徘徊」の表記も併記しています。

ご家族ができる、7つの備え

完璧を目指す必要はありません。
以下の7つのうち、「今すぐできそうなもの」から1つずつで大丈夫です。

  1. 連絡先入りの見守りシールや、反射ステッカーを身につける

    海老名市・座間市・綾瀬市には、SOSネットワーク(見守りネットワーク)への登録者向けのシールやステッカーがあります。
    海老名市は「QRコード付きシール」を配布しています。※2
    座間市は、靴に貼る反射ステッカーを、申請書で希望すれば受け取れます。※3
    綾瀬市は、反射材つきの早期発見ステッカーを配布しています。※4
    靴やバッグなど、普段身に着けるものに貼って使います。

  2. GPS機器・スマートフォンの位置共有を活用する

    警察庁の統計では、GPS機器等を活用して所在確認等された認知症行方不明者の約85%が、受理当日に所在確認されています。※1
    ご本人が違和感なく身につけられる形(靴・鍵ホルダー等)を選ぶのがコツです。
    ただし、電池切れや電波の届きにくい場所では位置がわからないことがあるため、万能ではありません。※7
    綾瀬市では、在宅で介護する市内在住の方にGPS携帯端末を貸与しています(所得に応じた利用者負担あり)。※5
    介護保険の福祉用具貸与には、「認知症老人徘徊感知機器」という種目があります。※6
    対象となる方や条件は、ケアマネジャーや市区町村にご確認ください。

  3. 玄関・扉に”開閉センサー”を設置する

    ドアの開閉をお知らせするセンサーやチャイムで、夜間や目を離した隙の外出に気づきやすくなります。
    介護保険の「認知症老人徘徊感知機器」は、屋外に出ようとしたときなどに、家族や隣人等へ通報する機能を持つ機器とされています。※7
    要支援・要介護1の方は、この種目は原則として給付の対象外です。※6

  4. お住まいの市の「SOSネットワーク」に事前登録する

    神奈川県と市町村は、「神奈川県認知症等行方不明SOSネットワーク」を運営しています。※8
    事前に名前や連絡先、身体の特徴等を登録しておくと、速やかな発見につながるとされています。※8
    海老名市では、登録申込書に顔写真と全身写真を添えて、地域包括支援センターなどに相談します。※9
    座間市では、事前登録申込書に顔写真を添えて提出します。※3
    綾瀬市では、登録票を市の担当課か、お住まいの地区の地域包括支援センターに提出します。※4

  5. ご近所・よく行くお店に一言伝えておく

    警察庁によると、所在確認等された認知症行方不明者のうち、約半数が民間からの通報をきっかけに発見されています。※1
    「もし夕方にひとりで歩いていたら、お声がけください」──
    ご近所や、いつも顔を合わせるお店の方に一言お伝えしておくと、地域全体が”見守りの目”になります。

  6. ご本人の最近の写真(全身・顔・服装)を用意しておく

    SOSネットワークの登録には、顔写真(海老名市は全身写真も)が必要です。※9※3
    万一のときに警察などへ伝えられるよう、最近の写真を用意しておくと安心です。
    スマホの中に「見守り用」フォルダを作っておくと便利です。

  7. “外に出たくなる理由”に気を配る

    不安・退屈・トイレの混乱・過去の生活習慣の再現など、ひとり歩きにはご本人なりの背景があることがあります。
    日中の活動量・声かけ・生活リズムを整えることが、外出のきっかけを減らす手がかりになります。
    相談窓口に話すと、ご本人の様子に合わせたケアを一緒に考えられます。

もし出て行ってしまったら ─ 落ち着いて、この順番で

警察庁は、認知症行方不明者の約95%が受理から3日以内に所在確認されているとして、迅速な発見活動の重要性を示しています。※1
慌てずに、下記の順で行動してください。

  • まず自宅と周辺を確認する(トイレ・浴室・車庫・近所の見慣れた場所)
  • 見つからなければ、ためらわず最寄りの警察署に連絡する(服装・靴・持ち物・特徴を伝えます)※9
  • GPS・位置共有アプリで現在地を確認する
  • 近隣のご家族・ご近所に連絡し、複数人で探す
  • SOSネットワークに登録している場合は、お住まいの市の担当課にも連絡する※3
  • 担当の地域包括支援センターやケアマネジャーに情報を共有する
  • ご本人の特徴をよく知る方は、保護の連絡を受けられるよう、できるだけ自宅で待機する※9

警察への連絡は「大袈裟ではないか」とためらう方も多いですが、
認知症が原因の行方不明の届出は、令和7年に17,345人分ありました。※1
特別なことではありません。
迷わず、最寄りの警察署に連絡してください。

“見守り”は、ご家族だけで抱えないでください

ひとり歩きへの備えは、ご家族だけで完結させようとすると疲れてしまいがちです。
地域全体で”見守る”体制を、少しずつ整えていくことが、安心につながります。

当センターでは、備えの整え方・地域資源の活用・ご本人への声かけの工夫まで、ご家族の状況に合わせてご相談を承っています。
「これから備えたい」段階でも、「すでに一度ひやっとした」段階でも構いません。

📞 認知症専用ダイヤル

046-204-8817

受付:月〜金 9:00〜18:00

よくあるご質問

Q. 認知症の方の行方不明は、どのくらい起きていますか?

警察庁によると、令和7年に認知症が原因で行方不明の届出があったのは17,345人でした。
令和5年の19,039人から、令和6年・7年は減少しましたが、依然として高い水準です。

Q. 行方不明になったら、どこに連絡すればよいですか?

まず、最寄りの警察署に連絡してください。
SOSネットワークに登録している場合は、お住まいの市の担当課にも連絡します。

Q. SOSネットワークには、どうすれば登録できますか?

登録の方法や申込先は、お住まいの市区町村によって異なります。
海老名市・座間市・綾瀬市では、いずれも顔写真を添えた登録申込書(登録票)を提出します。

詳しくは、各市の担当課や地域包括支援センターにご確認ください。

Q. GPS機器は、役に立ちますか?

警察庁の統計では、GPS機器等を活用して所在確認等された認知症行方不明者の約85%が、受理当日に所在確認されています。

ただし、電池切れや電波の届きにくい場所では位置がわからないことがあります。
充電の習慣づけなど、日頃の使い方も大切です。

Q. ご家族だけで相談することはできますか?

はい、ご家族だけのご相談も可能です。
認知症専用ダイヤル(046-204-8817/月〜金 9:00〜18:00)へお電話ください。

おわりに

ひとり歩きへの備えは、”疑ってかかること”ではなく、“大切な人が安心して外を歩ける環境をつくること”です。

秋の夕暮れの美しさを、これからもご本人・ご家族で穏やかに味わえるように。
できるところから、少しずつ、始めてみてください。

■ 参考文献・ガイドライン

※本ページは、当認知症疾患医療センター長である尾崎聡理事長(神奈川県認知症サポート医)やえびな脳神経クリニックの岩田智則院長(日本認知症学会専門医・指導医)の監修に基づき、医学的根拠のある情報を分かりやすくお伝えすることを目的としています。
個別の症状については、必ず医療機関で診察をお受けください。
制度や統計は改正・更新される場合があります。公式情報をご確認ください。