片頭痛の注射薬について

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院長 岩田智則

えびな脳神経クリニック
院長 岩田智則

日本脳卒中学会(評議員)
日本血管内治療学会(評議員)
日本脳循環代謝学会(評議員)
米国心臓協会国際フェロー(Fellow of AHA・脳卒中部門)
日本神経学会認定 神経内科専門医/指導医
日本内科学会認定 総合内科専門医/指導医
日本脳卒中学会認定 脳卒中専門医指導医
日本頭痛学会認定 頭痛専門医
日本認知症学会認定 認知症専門医指導医
厚生労働省認定外国人医師臨床修練指導医

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片頭痛でお悩みの方は、日常生活に大きな支障を感じていらっしゃると思います。

例えば…
「仕事や家事に集中できない」
「次に来る頭痛への不安が常にある」
「片頭痛のせいで人との約束を避けてしまう」など

片頭痛の苦しさは外見からは分かりにくいため、周りの理解を得ることが難しく、孤独感やストレスが増すことも少なくありません。当院では、そんな患者様のQOLを改善するサポートに力を入れています。

このページでは、片頭痛の発作を減らすために使う注射薬「CGRP関連抗体薬」について解説します。

片頭痛の治療は、発作が起きたときに痛みを鎮める「急性期治療」と、発作の回数そのものを減らす「予防療法」の二本柱で進めます。ここでご紹介する注射薬は、このうち予防療法に使うお薬です。

月1回などのペースで注射することで、頭痛の日数を減らすことを目指します。なお、同じ仕組みの飲み薬も登場しており、注射に抵抗がある方はそちらも選択肢になります。

目次

3種類の注射薬

当院でお取り扱いしている、片頭痛の予防に使う注射薬「CGRP関連抗体薬」には、以下の3種類がございます。

  • エムガルティ®(ガルカネズマブ)
  • アジョビ®(フレマネズマブ)
  • アイモビーグ®(エレヌマブ)

これらはいずれも、片頭痛を引き起こす主な原因物質のひとつとされる「CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)」の働きを抑えるお薬です。

エムガルティとアジョビはCGRPそのものに結合して働けなくするタイプ、アイモビーグはCGRPが作用する受け皿(受容体)に結合して、CGRPがくっつけないようにするタイプです。入り口が違うだけで、いずれもCGRPの働きを抑えるという点は共通しています。

エムガルティアジョビアイモビーグ
一般名ガルカネズマブフレマネズマブエレヌマブ
作用の入り口CGRPに結合CGRPに結合CGRPの受容体に結合
打つ間隔1か月に1回4週間に1回
または
12週間に1回
4週間に1回
初回2本
(以降は1本)
1本
(12週間隔の場合は3本)
1本
自己注射可可
(4週間隔の場合のみ)
可
薬価(1本)42,400円38,856円38,842円
3割負担(1本)約12,700円約11,700円約11,700円
薬価は2026年4月1日以降。薬剤費のみの目安で、別途、診察料・注射処置料などがかかります。
どの薬が適しているかは、発作の頻度・通院のしやすさ・持病などをふまえて医師が判断します。

これら3剤は2021年に国内で承認されました。2025年10月には日本頭痛学会から、成人の片頭痛予防療法におけるCGRP関連抗体薬の使用に関するポジションステートメントが発表され、予防療法の第一選択薬のひとつとして推奨されています。

一般的に、片頭痛に対して注射というイメージはあまりないかもしれません。しかし、実際に当院で注射を受けている患者様の声はもちろん、臨床試験の結果でも高い効果が確認されています。

注射薬を取り入れるメリット

注射薬の4つの利点
  • 発作の回数を減らすだけでなく、発作が起きてしまったときの痛みを軽くする効果も期待でき、従来の予防薬以上の効果が得られることがあります。
  • 従来の予防薬は効果が出るまで数か月かかることもありましたが、CGRP関連抗体薬は比較的早い段階から効果を実感できることがあります。多くの患者様で、使用開始から数日〜1か月前後で効果があらわれています。
  • 毎日内服する薬と違い、1か月または4週間に1回の注射で済みます。飲み忘れの心配がありません。
  • 臨床試験では、月あたりの片頭痛の日数が、使用しなかったグループと比べて明らかに減少するという結果が、反復性片頭痛・慢性片頭痛のいずれでも得られています。

※ 効果には個人差があり、すべての方で同じ結果が得られるとは限りません。

次に、それぞれの薬剤についてご説明いたします。

3剤それぞれの特徴

エムガルティ(ガルカネズマブ)

1か月に1回/初回のみ2本
  • 初回に2本、以降は1か月間隔で1本注射します。
  • 初回の費用は高くなりますが、初回に2本注射することで、お薬の血中濃度が早く安定した状態になります。
  • 毎月の通院が難しい方は、当院で2回の自己注射指導を受けていただき、3か月に一度のご受診で薬剤を受け取り、ご自身で注射する方法(在宅自己注射)もございます。
  • つまり、お仕事や家事でお忙しい方も、年間たった4回の受診で治療を継続できます。

※在宅自己注射については後述いたします。

アジョビ(フレマネズマブ)

4週間に1回、または12週間に1回
  • 投与スケジュールを4週間に1回1本、または12週間に1回3本まとめてのどちらかから選べます。
  • 12週間に1回を選べば、注射のために来院する回数を減らせます。
  • エムガルティと同じく、CGRPそのものに結合するタイプのお薬です。
  • 在宅自己注射も選択できますが、自己注射の対象は4週間に1回の場合のみです(12週間に1回を選んだ場合は、来院しての注射になります)。

アイモビーグ(エレヌマブ)

4週間に1回
  • 4週間に1回1本注射する片頭痛の予防薬です。
  • 在宅自己注射を行うこともできます。
  • 他の2剤とは作用の入り口が異なり、CGRPの受容体に結合するタイプ(ヒト抗CGRP受容体モノクローナル抗体)のお薬です。
  • 他の2剤で十分な効果が得られなかった場合に、切り替えを検討することがあります。

どんな方に使えますか?(適応の条件)

CGRP関連抗体薬は、片頭痛と診断された方すべてに使えるお薬ではありません。厚生労働省の「最適使用推進ガイドライン」により、使用できる患者さんの条件と、使用できる医療機関の条件が定められています。

次の4つをすべて満たすことを確認したうえで使用します
  1. 国際頭痛分類(ICHD第3版)を参考に診察を行い、前兆のある/ない片頭痛の発作が月に複数回以上ある、または慢性片頭痛であることが確認されている
  2. 投与を始める前の3か月以上にわたって、1か月あたりの片頭痛の日数が平均4日以上ある
  3. 睡眠・食生活の指導、適正体重の維持、ストレスへの対処といった生活面の見直しと、発作時の薬による治療をすでに行っていて、それでも日常生活に支障が出ている
  4. すでに国内で承認されている予防薬(プロプラノロール、バルプロ酸、ロメリジンなど)のいずれかについて、①効果が十分でない ②体に合わない ③持病などの理由で使えないのいずれかに当てはまる

出典:厚生労働省「最適使用推進ガイドライン ガルカネズマブ(遺伝子組換え)/フレマネズマブ(遺伝子組換え)/エレヌマブ(遺伝子組換え)」

文字にすると難しく見えますが、「生活の工夫も、発作時の薬も、これまでの予防薬も試したけれど、まだ頭痛で困っている」という方が対象、とお考えいただければ十分です。

ご自身が当てはまるかどうかを判断する必要はありません。最終的には、診察で症状の経過やこれまでの治療歴をうかがったうえで、医師が総合的に判断します。まずはお気軽にご相談ください。

医療機関にも条件があります

このガイドラインでは、頭痛を診る診療に5年以上の経験があり、日本神経学会・日本頭痛学会・日本内科学会・日本脳神経外科学会のいずれかの専門医である医師が治療の責任者として在籍していること、そして二次性頭痛との鑑別のためにMRIなどの検査が必要と判断した場合に対応できる体制があることが求められています。

当院はいずれの条件も満たしており、院内のMRI・CTで当日中に検査を行える体制を整えています。

飲み薬という選択肢もあります

同じCGRPを標的とするお薬には、飲み薬も登場しています。注射に抵抗がある方、通院のたびに注射を受けるのが負担という方には、こちらが選択肢になることがあります。

飲み薬使える場面飲み方
ナルティーク
(リメゲパント)
2025年12月発売
発作時の治療と予防の両方予防なら1日おき
(水なしで口の中で溶かす)
アクイプタ
(アトゲパント)
2026年4月発売
予防専用
発作時の痛み止めには使えません
1日1回 毎日
(水で飲む)

注射と飲み薬のどちらが適しているかは、発作の頻度・生活スタイル・通院のしやすさ・ほかに飲んでいるお薬などをふまえて、医師と相談しながら決めていきます。

▶︎ ナルティーク(リメゲパント)について

▶︎ アクイプタ(アトゲパント)について

費用について(保険診療)

いずれの注射薬も保険適応です。自己負担割合(1割・2割・3割)に応じて、実際のお支払い額が決まります。

薬剤(1本)薬価3割負担1割負担
エムガルティ 120mg42,400円約12,700円約4,200円
アジョビ 225mg38,856円約11,700円約3,900円
アイモビーグ 70mg38,842円約11,700円約3,900円
2026年4月1日以降の薬価。薬剤費のみの目安です。
費用についての補足
  • エムガルティは初月のみ2本使用するため、初回の薬剤費は3割負担で約25,400円となります。
  • 上記のほか、通常の初診料・再診料、注射処置料などがかかります。
  • お支払いは現金、またはクレジットカードご一括がご利用いただけます。
  • ご加入の健康保険組合によっては、自己負担が軽くなる制度を利用できる場合があります(在宅自己注射についてをご覧ください)。

予防療法は、すぐに効果を感じられない場合があります。自己判断で治療を中断してしまうと十分な効果が得られないこともありますので、ご自身では症状の改善が感じられない場合でも、医師と相談しながら治療を継続することが大切です。

効果の判定と、いつまで続けるか

効果があったかどうかは、投与開始から約3か月(3回投与後)を目安に判断します。アジョビを12週間に1回で使用する場合は、3か月または6か月を目安とします。

  • 3か月の時点で改善が見られない場合は、中止を検討し、ほかの薬剤への切り替えなど新たな治療方針をご提案します。「効かなかった=失敗」ではなく、治療を見直すための大切な判断材料です。
  • 改善が得られた場合も、漫然と続ける薬ではありません。定期的に継続の必要性を見直し、発作が消失・軽減して日常生活に支障がなくなった場合は、中止を検討します。
  • 高い効果が期待できますが、効果がみられない方も10〜20%ほどいると考えられています。

効果を正しく判定するために、頭痛が起きた日を記録しておくこと(頭痛ダイアリー)をおすすめしています。

使用できない方・注意が必要な方

使用できない方(禁忌)
  • その薬の成分に対して、重い過敏症を起こしたことがある方
妊娠中・妊娠の
可能性がある方
妊娠中の使用経験は限られています。妊娠のご予定がある方は、事前に必ずご相談ください。
授乳中の方授乳を続けるかどうかは、治療の必要性とあわせて個別にご相談のうえ決めます。
お子さま小児を対象とした有効性・安全性の試験は行われていません。
便秘がある方アイモビーグでは便秘が報告されています。もともと便秘がある方は診察時にお伝えください。

なお、日本人を対象とした臨床試験では、長期間(1年〜1年半程度)使用したときのデータまでが確認されています。それより長く使った場合のデータは限られているため、定期的に効果と必要性を見直しながら使用します。

他院で処方されているお薬、市販薬、サプリメントがある場合は、お薬手帳をお持ちのうえ、すべてお知らせください。

副反応について

すぐにご連絡いただきたい症状

まれに、重篤な過敏症(アナフィラキシー、血管浮腫、じんましんなど)が起こることがあります。

注射のあとに息苦しさ、顔や唇の腫れ、全身のじんましん、強いめまいなどが出た場合は、すぐに医療機関にご連絡ください。

もっとも多い副反応は「注射した場所の反応」です

臨床試験では、約15〜30%の方に注射部位反応(赤み、しこり、痛み、かゆみなど)がみられました。いずれも軽度〜中等度のものが大半で、多くは数日で治まります。

そのほか、鼻やのどのかぜ症状などが報告されています。

副反応と聞くとご心配になるかと思いますが、実際に使用している立場から申し上げると、このお薬は他のさまざまな薬と比べても副作用が少ない部類に入ります。気になる症状があれば、遠慮なくご相談ください。

在宅自己注射について

自己注射と聞くと「自分でできるだろうか」と不安に感じる方もいらっしゃると思いますが、当院でも多くの患者さまが自己注射をおこなっております(約30〜40%)。

ペン型の器具(オートインジェクター)を使うため、針を見ることなく、おなかや太ももに当ててボタンを押すだけです。当院で2回の指導を受けていただいたうえで移行しますので、手順や注意点をしっかり覚えてから始められます。

自己注射のいちばんのメリットは「通院回数が減ること」

3か月分をまとめて処方できるため、年4回の受診で治療を続けられます。お仕事や子育てでお忙しい方にとって、通院の負担が大きく減ります。

※ アジョビについては、自己注射の対象は4週間に1回で使用する場合のみです。12週間に1回3本まとめて使用する方は、ご来院のうえ注射を行います。

費用面でも有利になることがあります。ご加入の健康保険組合や共済組合によっては、ひと月の自己負担が一定額を超えた分が後日払い戻される付加給付金制度や一部負担還元金といった制度があります。

自己負担の上限額は組合によって異なりますが、ひと月あたり25,000円前後に設定されていることが多いようです。

毎月通院して
注射する場合
3か月分をまとめて
自己注射する場合
1回の窓口負担
(薬剤費・3割)
約12,700円約38,200円
(3本分)
付加給付の
払い戻し
上限(25,000円)を
下回るため、なし
約13,000円が
後日払い戻し
3か月の
実質負担
約38,200円約25,000円
3か月の
通院回数
3回1回
エムガルティを例にした試算です。上限額は組合により異なり、制度がない組合もあります。別途、診察料などがかかります。

こちらの制度に関しては、ご自身がご加入の健康保険組合へお問い合わせください。

文章で読むと難しく感じるかもしれませんが、診断やご相談も含め当院スタッフより詳しく説明させていただきますので、ぜひ一度お気軽にご受診ください。

オンライン診療について

当院では症状が安定した方に関して、毎月の通院が難しい場合にオンラインでの診療も可能です。

毎月の通院が不要となり、病院での待ち時間や通院時間といった時間とお金の節約にもつながります。

▶︎ オンライン診療について

当院での診察の流れ

症状や生活への影響を丁寧に確認し、この治療が合うかどうかを医師が判断します。

問診

頭痛の起こり方、頻度、持続時間、日常生活への影響、これまでに使ったお薬などについて詳しくお伺いします。

※ これまでの予防薬の使用歴は、適応の判断に必要です。お薬手帳をお持ちください。

問診のイメージ

必要に応じてCT・MRI検査

くも膜下出血や脳腫瘍など、命に関わる頭痛が隠れていないかを確認します。MRI 2台とCT 1台を備えており、原則として受診当日に検査と結果説明まで行います。

MRI検査のイメージ

片頭痛の診断と適応の確認

問診内容や検査結果をもとに、国際頭痛分類の診断基準に沿って診断します。あわせて、最適使用推進ガイドラインの条件を満たすかを確認します。

診断のイメージ

治療選択肢のご説明

注射薬3剤と飲み薬それぞれの特徴、費用、通院頻度をご説明します。自己注射やオンライン診療を使った通院負担の減らし方もあわせてお伝えします。

※ 現在使用中のお薬との兼ね合いも確認します。

治療説明のイメージ

注射の実施

おなかや太ももなどに皮下注射します。注射そのものは数十秒で終わります。終了後は院内で体調を確認してからお帰りいただきます。

※ すべての方に行う治療ではありません。症状や体調を踏まえ、医師が総合的に判断します。

注射のイメージ

経過の確認と効果判定

次回の注射にあわせてご来院いただき、副反応の有無と発作の変化を確認します。約3か月の時点で効果を判定し、継続・変更・中止を判断します。

経過確認のイメージ

まとめ

  • CGRP関連抗体薬は、片頭痛の発作の回数を減らすための注射薬。エムガルティ・アジョビ・アイモビーグの3種類があります
  • 打つ間隔は1か月または4週間に1回。アジョビは12週間に1回も選べます
  • 誰にでも使える薬ではなく、ガイドラインで定められた4つの条件を満たすかを診察で確認します
  • 効果判定は約3か月。改善がなければ中止や切り替えを検討します
  • 3割負担で1本あたり約11,700〜12,700円(薬剤費のみ)
  • 在宅自己注射なら年4回の受診で済み、費用面でも有利になることがあります
  • 注射に抵抗がある方には飲み薬という選択肢もあります

当院の頭痛外来の特徴

えびな脳神経クリニックでは、頭痛の症状や頻度、痛み方などを詳しく確認し、 片頭痛をはじめとする頭痛の診療を行っています。 必要に応じてMRI・CTなどの画像検査を行い、二次性頭痛の可能性も確認します。

POINT 01

当日MRI・CT検査で脳の状態を確認

くも膜下出血・脳出血・脳腫瘍など、重い脳の病気がないかをその日のうちに詳しく調べます。

POINT 02

当日結果説明で不安を解消

検査後は当日中に画像と結果を医師が丁寧に説明。様子を見てよいか、追加検査が必要かをその場で確認します。

POINT 03

複数の脳神経専門医が在籍

脳神経外科・脳神経内科の複数の医師が在籍。片頭痛から脳卒中まで、幅広い頭痛に対応します。

POINT 04

平日夜間・土日診療で通いやすい

平日21時/土曜18時/日曜13時まで診療。
※初診は診療終了の1時間前まで

POINT 05

海老名駅直結徒歩1分

ViNA GARDENS PERCH 6階。雨の日や頭痛がつらい日でも、負担少なく来院いただけます。

POINT 06

緊急時は基幹病院と連携

命に関わる頭痛が疑われる場合、近隣の基幹病院と連携し緊急入院・手術にもスムーズに対応します。

「この頭痛、様子を見ていて大丈夫?」
不安な方は、一度ご相談ください。

院長からひと言

院長 岩田智則

えびな脳神経クリニック
院長 岩田智則

CGRP関連抗体薬が登場してから、片頭痛の予防治療は大きく変わりました。これまで「頭痛は我慢するもの」と思って過ごしてこられた方が、治療によって予定を立てられるようになる。そうした変化を、診察室で何度も見てきました。

一方で、すべての方に効くわけではありませんし、使える条件も決まっています。だからこそ、まずは頭痛のタイプをきちんと見極めること、そして生活面の工夫や発作時の薬の使い方を整えることが出発点になります。

「毎月のように頭痛で予定を諦めている」「市販薬を飲む回数が増えてきた」という方は、我慢せず、まずは頭痛の診療に慣れた脳神経外科・脳神経内科でご相談ください。

よくある質問

Q:注射は痛いですか?どこに打つのですか?
A:おなか、太もも、二の腕などに皮下注射します。採血のように血管を狙うのではなく、皮膚のすぐ下に入れるため、針は細く短いものを使います。チクッとする程度で、注射そのものは数十秒で終わります。打ったあとに赤みやしこりが出ることがありますが、多くは数日で治まります。
Q:どのくらいで効果が出ますか?
A:多くの方で、使用開始から数日〜1か月前後で変化を感じられます。ただし効果の判定は、約3か月(3回投与後)を目安に行います。1回打っただけで判断せず、少なくとも3回は続けて様子をみていただくことをおすすめしています。
Q:3剤のうち、どれを選べばよいですか?
A:打つ間隔、自己注射の可否、通院のしやすさ、持病やほかのお薬との兼ね合いなどをふまえて決めます。たとえば「来院回数をできるだけ減らしたい」ならアジョビの12週間に1回、「自己注射で年4回の受診にしたい」ならエムガルティ、といった考え方があります。3剤を直接比べた臨床試験はないため、効き目の優劣で選ぶものではありません。診察でご相談ください。
Q:注射を続けていれば、発作時の薬は不要になりますか?
A:いいえ。注射は発作の回数を減らす薬で、起きてしまった痛みを鎮める薬ではありません。発作が起きたときのために、トリプタンなどの急性期治療薬は手元に置いておいてください。どの薬をどのタイミングで使うかは、治療開始前にご説明します。
Q:やめたら、また頭痛が戻りますか?
A:中止後の経過は方によって異なります。発作が増えてしまう方もいれば、中止後も落ち着いた状態が続く方もいます。一生続ける薬ではなく、効果が得られて生活に支障がなくなった段階で中止を検討します。やめるタイミングは、経過をみながら一緒に決めていきます。
Q:これまで予防薬を使ったことがありませんが、いきなり注射はできますか?
A:原則として、まずは生活面の見直しや発作時の薬の使い方を整え、既存の予防薬(内服)を試していただくことになります。ガイドラインで「既存の予防薬が効かない、または使えない」ことが条件とされているためです。ただし、持病などの理由で既存の予防薬が使えない場合もありますので、まずはご相談ください。
Q:飲み薬の予防薬と、どちらがよいですか?
A:注射は月1回などで済む代わりに通院や自己注射が必要で、飲み薬は毎日または1日おきの服用が必要な代わりに注射が不要です。どちらが続けやすいかは生活スタイルによります。アクイプタやナルティークのページもあわせてご覧ください。
Q:まだ片頭痛と診断されたことがありませんが、相談できますか?
A:可能です。まずは診察と、必要に応じた検査で、片頭痛かどうか、ほかの病気が隠れていないかを確認します。「これって片頭痛?」という段階でも、遠慮なくご相談ください。

参考文献

  • エムガルティ皮下注120mg 電子化された添付文書/日本イーライリリー KEGG MEDICUS
  • アジョビ皮下注225mg 電子化された添付文書/大塚製薬 KEGG MEDICUS
  • アイモビーグ皮下注70mgペン 電子化された添付文書/アムジェン KEGG MEDICUS
  • 厚生労働省「最適使用推進ガイドライン ガルカネズマブ(遺伝子組換え)」 PDF
  • 厚生労働省「最適使用推進ガイドライン フレマネズマブ(遺伝子組換え)」 PDF
  • 厚生労働省「最適使用推進ガイドライン エレヌマブ(遺伝子組換え)」 PDF
  • 一般社団法人 日本頭痛学会「成人の片頭痛予防療法におけるCGRP関連抗体薬の使用に関するポジションステートメント」(2025年10月) 日本頭痛学会
  • 日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会 監修 『頭痛の診療ガイドライン2021』

関連ページ

▶︎ 片頭痛とは?原因・症状・治療

▶︎ ナルティーク(リメゲパント)について

▶︎ アクイプタ(アトゲパント)について

▶︎ 頭痛外来

▶︎ オンライン診療について

▶︎ 初診の方へ

▶︎ お車でお越しの方へ