前頭側頭型認知症とは?
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前頭側頭型認知症は、異常なたんぱく質によって脳が部分的に萎縮していく病気です。アルツハイマー病の場合は、脳の海馬という記憶を司る部分から萎縮していきますが、前頭側頭型認知症の場合は脳の前頭葉や側頭葉のいずれかが萎縮し始めることで発症します。進行すると、側頭葉と前頭葉ともに萎縮していきます。
原因とリスク要因
原因
前頭側頭型認知症の原因はまだ完全には解明されていませんが、脳内で異常なタンパク質の集積による神経細胞の損傷が原因の1つとされています。
リスク要因
- 遺伝的要因
前頭側頭型認知症は遺伝的な要因が関与することがあります。例えば、C9orf72遺伝子変異がFTDの最も一般的な遺伝的原因の1つとされています。 - 年齢
通常、40歳から65歳の間に発症することが多いため、年齢はリスク要因の1つです。 - 性別
前頭側頭型認知症は男性にやや多く見られる傾向があります。 - 脳の損傷
脳の外傷、中風、脳出血などによって脳の損傷が生じると、発症リスクが高まる可能性があります。 - 染色体異常
一部の症例では、21番染色体上にあるMAPT遺伝子の変異が関与していることがあります。 - 環境要因
運動不足、肥満、高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病や、喫煙、過剰なアルコール摂取などの生活環境が、リスクを高めることがあるとされています。
症状
- 記憶力の低下
- 言語能力の低下
- 社会性の低下
- 感情のコントロールが難しくなる
- 倫理観や判断力の低下
診断方法
- 病歴および身体検査
医師は患者の病歴や身体検査などを行い、症状や身体的異常の有無を確認します。 - 神経心理学的評価
この検査は患者様の脳の機能を評価するために行われます。
言語能力、記憶、判断力、抽象的思考などを測定するテストを行います。 - 脳画像検査
脳画像検査には、MRIやCTなどがあります。
これにより、脳の異常や萎縮の程度を確認することができます。 - 神経心理学的検査
脳波検査、PETスキャンなどの検査があり、脳の機能や代謝の異常を検出することができます。 - 血液検査
一部の疾患による認知症を除外するため、血液検査が行われることもあります。
これらの検査結果を総合的に判断し、診断が行われます。前頭側頭型認知症は他の認知症と混同されることがあり、正確な診断のためには、専門医による診断が必要です。
治療法
現在、前頭側頭型認知症の根本治療法は確立されていませんが、症状を緩和するための治療法がいくつか存在します。
- 薬物療法:
抗うつ薬や抗精神病薬を用いて、症状を緩和させることができます。しかし、これらの薬は副作用があるため、慎重に使用する必要があります。 - 支援療法
認知症に対する理解を深め、家族や介護者とのコミュニケーションを図ることで、患者のQOL(生活の質)を向上させることができます。 - 生活習慣の改善
適度な運動や栄養バランスの良い食事、十分な睡眠など、健康的な生活習慣を続けることで、症状の進行を遅らせることが期待されます。
前頭側頭型認知症は現在治療が難しい病気であることを念頭に置き、適切なサポート体制を整えることが大切です。
ー よくある質問 ー
A:脳内で異常なタンパク質の集積により神経細胞が損傷することで、認知機能が障害される疾患です。
A:遺伝する場合があります。C9orf72遺伝子の変異が、前頭側頭型認知症の最も一般的な遺伝的原因の1つとされています。
A:現在、前頭側頭型認知症の治療法は確立されていません。治療法は、症状緩和のための薬物療法や、理学療法、言語療法などがありますが、根治的な治療法はありません。
A:前頭側頭型認知症は進行性の疾患で、症状は徐々に悪化していきます。患者によって進行速度や症状の種類は異なりますが、症状が悪化するにつれて、日常生活に支障をきたすようになります。
A:予防方法は明確にはわかっていませんが、健康的な生活習慣を維持することが重要です。適度な運動やバランスの取れた食事、ストレスの軽減、社交的な活動などが推奨されます。